福島原発の炉心っていうのはどうなっていて、何がおこっているの?という素朴な疑問を投げかけられて、それを分かりやすく説明するために、ウラニウム燃料のメルト君とダウンちゃんの物語を創ってみました。私の理解では、現在までに次のようなことが起こりました。
福島原発炉心物語「メルトとダウン」
メルトは細いガラスの筒に詰められたまま立てられていた。そして毎日同じように細いガラス筒に詰められて手を伸ばせば届きそうなところにいるダウンを見ながら、適度な熱を発し続けていた。二人の入ったガラスの筒は水で覆われて、管理さ
れていた。メルトの熱で水を蒸発させて、蒸気を出させて、その蒸気の力でタービンを回すらしいのだが、メルトもダウンもそれが何の為かは知らされていなかった。ただただ、管理された静寂な水の中で、決して手を伸ばしても触れることの許されないダウンを見ながら、メルトは毎日熱くなっている、それだけの世界のはずだった。
ところが、ある日大きな大きな経験したことの無い揺れが襲ってきた。そして、その揺れの後に、メルトとダウンの入った筒を覆っていた水がどんどん減っていったのだ。今まで水を通してしか見られなかったダウンの美しい姿を見たメルトは、今までにないほどの高熱を発した。いつもは水を蒸発させるのにちょうど良い位までしか熱を出せなかった。全てはコントロールされていた。ところがその管理が一気に無くなったのだ。メルトは興奮した。その熱は直ぐに1000度を超えることとなり、メルトの入っていた筒が溶けだした。同時に、ダウンの入っていた筒も溶けだした。メルトは、自分もだんだんどろどろになって、筒の底の方に流れだしていくのを感じていた。その時、ダウンも同じように溶けだして、気が付いたらダウンの目の前にメルトがいた。もうメルトはどろどろだった。熱は最高潮に達した。もう爆発寸前だ。いつの間にか、興奮ではいた息が目の前にある床の亀裂から漏れて溜まって、外を覆う建物の屋根を爆発で吹き飛ばしたようだ。すごい大きな音がした。さっきまで、となりにいたヨウソ君やセシウムちゃんやウラン君がどこかへ飛んで行った。ああ自分もどこかへ飛んで行きたい、ダウンと一緒にと、メルトは思った。
しかし、その内に天から塩辛い水が降ってきた。メルトとダウンはどろどろになったまま、少し固まってきてしまった。自分たちが横たわる床には、亀裂が入っていて、もう少しどろどろのままだったら、あの隙間から、ダウンと一緒に外に出られたかもしれない一歩手前で、中途半端な形で少し固まってしまった。少し冷めてきたが、まだまだ熱は高いままだ。もし、あの亀裂からダウンと一緒に外に出られれば、風に乗って、今まで見たこともない外界に飛んで行けたのに。メルトは、この中と半端な恰好のまま、ダウンとぴったりくっついている自分の状況に、興奮は当分さめやらないと思っている。
そうしているうちに、この底に、バスクリンのような白い液体が入ってきたり、おがくずが落ちてきたり、一体どうなっているのか、いろいろなものが入ってくる。次は、なにか気体をどんどん入れてきた。どうも息苦しい。この気体で、なかの圧力は高くなっている。どうなるのだろう。このまま爆発すれば、またメルトとダウンはどろどろになって、外に出られる。そうすれば、我々は自由だ。でも、いまのままでは、中途半端な状況だ。メルトは、どうしても外へ出てみたい。そしてダウンとずーと遠くまで飛んでいきたい。そう夢見る毎日なのだ。我々を覆う水は、亀裂からどんどん流れだしている。自分達も、きっと外へ出られると希望を胸に、今日も熱を出し続けているメルトであった。
以上が私の理解です。メルトとダウンが外の世界を見ることのないように心から祈ります。
